第1四半期で41年ぶりの最高益——パナソニックを押し上げた「AIの裾野」
パナソニックホールディングスの2026年4〜6月期決算は、営業利益が前年同期の2.1倍の1,825億円となり、第1四半期として1985年以来の最高益を更新した。押し上げたのは、AIサーバー向けのコンデンサーと電池だ。AIの需要は「作る側」から「支える側」の裾野へ広がっている。
この記事のポイント
① パナソニックHDの2026年4〜6月期は、売上高2兆189億円(前年同期比6.4%増)、営業利益1,825億円(同2.1倍)。営業利益は第1四半期として過去最高で、1985年以来41年ぶりに更新した
② けん引したのはAIインフラ関連だ。グループ会社のパナソニックインダストリーのAI関連売上高は前年同期比1.4倍の749億円となり、年間目標は2,700億円から3,100億円へ引き上げ。パナソニックエナジーのデータセンター向け売上高も同1.9倍の1,130億円に伸びた
③ AIサーバーを支えるコンデンサーや電源システムなど、AIを「作る」のではなく「支える」製品群にAIの需要が波及した。同社は「AI関連需要の拡大とその波及効果」を理由に通期見通しを上方修正しており、AI需要の広がりを示す「裾野決算」の典型となった
営業利益は、2.1倍に伸びた
パナソニックHDの4〜6月期(国際会計基準)は、売上高2兆189億円(前年同期比6.4%増)、営業利益1,825億円(同2.1倍)、親会社の所有者に帰属する純利益1,352億円(同89%増)だった。営業利益は第1四半期として過去最高となり、同社は決算説明会で1985年以来41年ぶりの更新だと説明した。2027年3月期の純利益は4,500億円(前期比2.4倍)になると見通す。
セグメントの数字が、伸びの在り処を示す。AIサーバーなどに使うコンデンサーや基板材料を手がけるインダストリー事業の営業利益は391億円と、前年同期の2倍になった。エナジー事業も409億円へ28%伸びたが、車載電池が減益となる中、データセンター向け蓄電システムの増益が全体を押し上げた。
同社は「AIインフラ関連事業に加え、データセンター需要の恩恵を受ける周辺事業が想定以上に伸長」したと説明する。この勢いを受け、通期見通しも売上高で2,000億円、営業利益で400億円、純利益で300億円それぞれ上積みした。
AIサーバーの頭脳と心臓を支える
伸びの中身は、AIの計算そのものではなく、計算を支える部品にある。
AIサーバーの中では、「頭脳」にあたる半導体が計算を担う。その頭脳が力を出すには、電気の流れを整えるコンデンサーや、半導体を載せる基板の材料が欠かせない。これらを作るのがグループ会社のパナソニックインダストリーだ。AI関連の売上高は前年同期比1.4倍の749億円となり、年間目標も2,700億円から3,100億円に引き上げた。コンデンサーの生産能力は国内の佐賀・熊本に加え、マレーシアとインドネシアでも増強する。
AIサーバーには「心臓」、つまり頭脳に大量の電力を絶え間なく送り届ける電源もある。パナソニックエナジーは、停電に備える蓄電池や電力の急な増減を吸収する装置でここを支える。データセンター向け売上高は前年同期比1.9倍の1,130億円となり、年間では前年の1.7倍の5,500億円を見込む。2028年度には、米カンザス拠点に専用の生産ラインを導入する計画だ。
AIの需要は、第2層に届いた
AI需要の恩恵はこれまで、半導体やその製造装置、データセンター事業者といった「第1層」の決算で確認されてきた。純利益46倍のキオクシアは、その象徴だ(関連記事:純利益46倍のキオクシア決算が映す「転換点」、AIは使われる段階へ)。
今回のパナソニックの決算が示すのは、需要が電源や部品、電力設備といったAIを支える産業——第2層へ本格的に届き始めたことだ。同じ決算週には、日立製作所もデータセンター向けを含む無停電電源装置や配電用変圧器の拡販、半導体製造・計測検査装置の受注拡大を決算資料に記した。AIそのものを作らない企業の決算に、AIの需要が現れる。この「裾野決算」は、需要の広がりを測る目印になる。
パナソニックは5月に策定したグループ成長戦略で、AIインフラを支える事業を成長のけん引役に据えた。同事業だけで2028年度に売上高約1兆4,000億円をめざし、2026年度からの3年間で約5,000億円を投資する計画だ。