能動的サイバー防御とは何か——関連法が10月に一部施行、GMOが発動を要請

2026.10.26

GMOインターネットグループの子会社GMOインターネットは、不正アクセスで顧客の証券やFXの口座が操作されたことを受け、政府に「能動的サイバー防御」の発動を求めた。10月に動き出したこの制度では、誰がどのような措置をどんな条件で取るのか。

THE AI TIMES JAPAN 2026.10.26 09:30 3 min read
能動的サイバー防御とは何か——関連法が10月に一部施行、GMOが発動を要請

GMOインターネットグループは10月24日、子会社のGMOインターネットが政府に「能動的サイバー防御」の発動を求めたと発表した。FX向けクラウドサービスが不正アクセスを受け、顧客の証券やFXの取引口座が不正に操作された。同社はこれによる損失を補償する。

熊谷正寿会長兼社長は25日、自身のブログで今回の不正アクセスについて謝罪した。同社が基幹インフラ事業者に指定されていないことや、発動は政府が主体的に決めるものであることを理解したうえで具申したと説明し、国民生活への影響に照らして検討するよう求めた。一連の対応にかかる費用は、すべて自社で負うとしている。

能動的サイバー防御は、重大なサイバー攻撃を未然に防ぎ、被害の拡大を食い止めるための仕組みだ。サイバー対処能力強化法と関連法で定められ、官民連携の強化、通信情報の利用、アクセス・無害化措置の3つの柱からなる。このうち官民連携とアクセス・無害化措置の2つが、10月1日に施行された。

アクセス・無害化措置は、攻撃に使われているサーバーなどに遠隔で入り、攻撃用のプログラムを止めたり消したりするものだ。人の生命や身体、財産に重大な危害が生じるおそれがあり、緊急の必要がある場合などに警察が実施する。国外からの特に高度に組織的かつ計画的な攻撃で、首相が必要と認めた場合は自衛隊が対処する。

いずれも要件を満たすかを判断したうえで、原則として独立機関「サイバー通信情報監理委員会」の事前の承認を得て実施する。

官民連携で義務を負うのは、電力や金融など15分野の基幹インフラ事業者で、2026年7月時点で259の事業者が指定されている。10月1日からは、攻撃を受けた際に国へ報告することが義務づけられた。

金融取引を狙う攻撃をめぐっては、日本銀行が23日、年2回公表している金融システムレポートで、最先端の高性能なAI(フロンティアAI)の発展に伴い、「サイバーセキュリティを巡る脅威が高まっている」と指摘した。影響がほかの金融機関に広がり得るとして、金融システム全体の重要なリスクと位置付けている。