米データセンターの電力消費、2030年に全体の12%へ——Google・エヌビディアなどが「節電」で連合、接続待ち短縮
米国で、AIの普及とともにデータセンターが使う電力量が膨らみ、2030年には国全体の約12%に達する見込みだ。首都ワシントンやバージニア州など東部の一部では、数年先に必要な供給力が不足している。Googleやエヌビディアなどは節電の連合を組み、発電所や送電網の新設を待たずに、今ある設備から電力を引き出す。
この記事のポイント
① 米ローレンス・バークレー国立研究所の調査によると、米国のデータセンターの電力消費は2030年に国全体の約12%に達する見込みだ。米東部を中心とする送電網を運営するPJMは昨年、数年先に必要な供給力を運営史上初めて確保しきれず、今年の入札でも約6.8GW足りなかった
② IT大手のGoogleやAI半導体大手のエヌビディアなどは9月、データセンターの電力管理に関する連合を発足させた。電力が混む時間帯だけ使う量を抑えることで、発電所や送電網の増強を待たずに、より多くのデータセンターをつなげられるようにする
③ 日本では、国内最大の発電会社JERAが、米サーバー大手のデル・テクノロジーズなどと組み、千葉の火力発電所の構内に最大40万kWのデータセンターを計画する。好立地を活用し、通常のデータセンターより数年早い稼働を目指す
電力が、AIの成長を左右する
米エネルギー省所管のローレンス・バークレー国立研究所は6月、米国のデータセンターが使用する電力量が、2030年に国全体の11.8%に達する可能性があるとの見通しを示した。
先行きの供給が足りない地域も出てきている。米東部を中心に13州と首都ワシントンで6,700万人に電力を届ける送電網を運営するPJMは、数年先に必要な供給力を前もって確保する役目を担う。昨年は2027〜28年度分で運営史上初めて必要な量に届かず、今年7月も2028〜29年度分で、大型の原発7基分ほどにあたる約6.8GW不足した。新しくデータセンターを建てても、電力を確保できなければ稼働量は限られ、AIの処理量は伸び悩む。
Googleなどは節電で連合
9月16日、IT大手のGoogle、AI半導体大手のエヌビディアと米スタートアップのEmerald AIの3社が「AIエネルギー管理連合(AEMA)」を立ち上げた。AI開発のAnthropicや電力会社のコンステレーション・エナジーなど18社も発足時から加わる。エヌビディアは発足の発表で、「電力は、米国のAIインフラ拡大を左右する制約になった」との認識を示した。
節電の仕組みは、電力の需要が集中する時間帯に、データセンターが優先度の低い計算を抑えたり、ほかの地域の拠点へ移したりするというもの。発電所や送電網は、一年で最も電力が使われる数時間に合わせて造られる。この時間帯だけ使う量を抑えれば、設備の増強を待たずに新しいデータセンターに電力を供給する余地が生まれる。
Googleは連合ができる前から、この方法を取り入れてきた。データセンターは建てる前に電力会社へ供給を申し込むが、電力が足りない地域では、電力会社が発電所や送電網を増強するまで待たされることが多い。
そこでGoogleは米国の電力会社5社と、混む時間帯に使う電力を減らす契約を結んでいる。一度に減らせる電力は、合わせて最大1GWになる。代わりに、新しいデータセンターでより早く電力の供給を受けられる。
今ある発電所から、電力を引き出す
さらにGoogleは10月6日、米電力大手のコンステレーション・エナジーと、原子力発電所の電力を20年間買う契約を結んだ。イリノイ、ペンシルベニア、ニュージャージーの3州にある既存の原子炉11基でタービンや制御システムを改良して出力を引き上げ、増えた分の890MWを買い取る。コンステレーションは設備の改良に43億ドル超を投じ、最初の出力の引き上げは2028年までに終える見込みだ。
MicrosoftやMetaも先に同様の契約を結んでおり、電力を使う大手テックが発電所の計画に直接加わる動きが続いている。それだけ、AIの事業では電力の確保が鍵になっているといえる。
費用の分担を、見直す
データセンターが増えれば、電力会社は送電網や発電所を増やす必要があり、費用がかさむ。米国ではこれまで、こうした費用は電力料金に上乗せされ、家庭を含む利用者全体で負担してきた。
米下院は9月16日、「料金負担者保護法案」を賛成多数で可決した。大型のデータセンターが送電網などの増強費用を自ら負担するよう、州に基準づくりを促す。家庭や中小企業の負担を抑える取り組みは、すでに24州で進む。
発電所の近くに、データセンターを建てる
国内でも、データセンターは電力需要を押し上げる。電力広域的運営推進機関は1月、データセンターと半導体工場の新増設によって、全国の最大電力が2030年度に420万kW、2035年度に762万kW増えると見込んだ。
国内最大の発電会社JERAは10月1日、米サーバー大手のデル・テクノロジーズ、RHAELMと、千葉県のJERA千葉火力発電所の構内にデータセンターを建てる覚書を結んだ。規模は最大40万kW、総投資は150億ドル(約2兆3,000億円)以上を見込み、2028年ごろの運用開始をめどとする。好立地を活用し、通常のデータセンターより数年早い稼働を目指す。