連載「AI経済の現在地」

AIの「記憶」、2028年分まで受注——メモリー大手5社が示すエージェントAIの実需

AIの利用拡大で扱うデータが膨らみ、それを保持する半導体メモリーの需要が急増している。キオクシアなどメモリー大手5社は、数年先の生産分まで長期契約で販売先を固めつつある。需給の逼迫が続く中で販売単価が上がり、各社の業績は大きく伸びている。

まだ0.1%、それでも足りない計算資源——Anthropicの目論見書が映す需給のずれ

大企業がClaudeに使う額は、まだ各社の費用全体の0.1%にも届かない。それなのに、米Anthropicの計算資源はすでに需要に追いついていない。上場に向けて公開した目論見書は、こうした需給のずれを抱えながら、同社が4〜6月期に営業黒字へ転じた姿を映し出している。

米データセンターの電力消費、2030年に全体の12%——Google・エヌビディアなどが「節電」連合、新拠点の早期接続へ

米国でAIの普及とともにデータセンターが使う電力量が膨らみ、2030年には国全体の約12%に達する見込みだ。首都ワシントンやバージニア州など東部の一部では、数年先に必要な供給力が不足している。Googleやエヌビディアなどは節電の連合を組み、発電所や送電網の新設を待たずに、今ある設備から電力を引き出す。

純利益12倍のマイクロン決算——顧客の前払い320億ドル、積み上がるメモリーの「予約」

半導体メモリー大手の米マイクロン・テクノロジーの2026年6〜8月期決算は、売上高が前年同期の約4.8倍、純利益が約12倍になった。顧客との長期契約は26件に増え、前払い金などは320億ドルに達した。メモリー需給の逼迫を受け、顧客が数年先の供給を確保する動きが広がっている。

売上2.1倍で最高益のNVIDIA決算——巨大テックの「外」へ広がるAI半導体の買い手

半導体大手、米NVIDIAの業績拡大が続いている。これまで買い手の中心は巨大テックだったが、AI開発の新興企業や一般企業、各国のAI基盤など向けの売上も伸び、すでに全体の4割強を占める。同社は需要拡大を見込み、製品に組み込むメモリーなどの予約額をこの3カ月で2倍超に増やした。

ソフトバンクGが1兆円社債で見据える未来——注力4領域の一つ、ロボット事業の買収資金に

ソフトバンクグループが、個人向けの社債で1兆円を調達する。発行額は国内の個人向け社債として過去最大となる。使い道は既存の国内社債の償還と、孫正義会長兼社長が注力すると語る4つの領域の一つ、ロボット事業の買収資金だ。

テスラは、飛躍の地でロボットに賭けた——世界が熱視線を向ける「フィジカルAI」とは何か

テスラは米フリーモント工場で14年造り続けた旗艦車の生産を打ち切った。そして空いた製造ラインは、人型ロボット「Optimus(オプティマス)」の生産に振り向ける。このロボットの頭脳を担うのが、「フィジカルAI」と呼ばれる技術だ。

NEC、部門長から平社員までAIの部署を新設——「エージェントAI」とは何か

部門長も、平社員も「AI」——そんな部署をNECが新設し、組織図にAIの席が用意された。可能にしたのは「エージェントAI」。任せた仕事を、自律的に最後までやり遂げるAIだ。どこまでをAIに任せ、何を人の手に残すか。役割分担の設計が企業の課題になる——その未来の先行例が、ここにある。

生成AIの勝負は「実装」へ——日立が3倍に増やす新職種「FDE」とは何か

日立製作所が国内約300人から約1,000人へ増やす「FDE」は、顧客の現場に入り込み、AI実装をやり切る技術者だ。AIモデルを作るGoogleやOpenAI、Anthropicも、この仕事に人や資金を注ぎ始めている。モデルの性能を競う勝負の隣に、実装という新たな勝負が立ち上がっている。

パナソニック、第1四半期で41年ぶりの最高益——押し上げたのは「AIの裾野」

パナソニックホールディングスの2026年4〜6月期決算は、営業利益が前年同期の2.1倍の1,825億円となり、第1四半期として41年ぶりに最高益を更新した。押し上げたのは、AIサーバー向けのコンデンサーと電池だ。AIの需要は作る側から「支える側」の裾野へ広がっている。

ノエトラとは何か——日本がフィジカルAIの勝機を託す44社連合

ソニーグループ、ソフトバンク、NEC、ホンダなど日本を代表する企業を中核に、44社が出資する会社がある。設立は2026年1月。国産フィジカルAIの本命、ノエトラ(Noetra)だ。誰が何を作り、どう動かすのか。そしてなぜ、日本の勝機はここにあるのか。

純利益46倍のキオクシア決算が映す「転換点」、AIは使われる段階へ

半導体メモリー大手キオクシアホールディングスの業績拡大が加速している。2026年4〜6月期の純利益は前年同期の46倍。この決算が映し出すのは、AIが「投資される段階」から本格的に「使われる段階」に入ったという明確な転換だ。