ソフトバンクGが1兆円社債で見据える未来——注力4領域の一つ、ロボット事業の買収資金に
ソフトバンクグループが、個人向けの社債で1兆円を調達する。発行額は国内の個人向け社債として過去最大となる。使い道は既存の国内社債の償還と、孫正義会長兼社長が注力すると語る4つの領域の一つ、ロボット事業の買収資金だ。
この記事のポイント
① ソフトバンクグループは9月4日、第70回無担保普通社債の利率を年4.75%に決めた。総額1兆円の7年債で、国内の個人向け社債として過去最大
② 使途は既存社債の償還資金と、スイスABBのロボット事業(買収総額53億7,500万ドル)の買収資金の一部。同社は2025年10月にABBと最終契約を結び、2026年内の完了を見込む
③ 孫正義会長兼社長は6月の株主総会で、AIモデル・半導体・AIインフラ・ロボットの4つの領域で「圧倒的No.1」を目指すと語った。今回の社債は、このうちロボットに向かう
個人向けで、国内最大の1兆円
ソフトバンクグループ(SBG)は4日、第70回無担保普通社債の利率を年4.75%に決めた。発行総額は1兆円、償還までの年限は7年だ。
国内の長期金利は高い水準で推移している。新発10年物国債の利回りは9月1日に約30年ぶりの3%台をつけ、4日の終値は2.90%だった。同社の個人向け社債の利率も、2025年11月の第67回(年限7年)の3.98%から4.75%へ上がった。
個人向け社債として、1兆円は国内最大になる。同社の個人向け社債で1回あたりの発行額は2025年4月の6,000億円がこれまで最大で、今回はそこから桁を上げた。
使い道は、ロボットと償還
資金使途について同社は「国内社債の償還資金およびABBロボティクス事業の買収資金の一部に充当する予定」と説明する。
ABBロボット事業の買収について、SBGは2025年10月8日に最終契約を結んだ。買収総額は53億7,500万ドル(発表時のレートで約8,187億円)。ABBは産業用ロボットで世界大手の一角を占める。買収の完了は2026年内を見込む。
見据える未来、注力する4領域
孫氏は6月の株主総会で、SBGの向かう先を4つの領域で説明した。AIモデル、半導体、AIインフラ、ロボットだ。「この4つの領域で世界一に、圧倒的No.1になりたい」と語り、今後16年でNAV(時価純資産)1,000兆円を目指すと述べた。
同社はAIモデルではOpenAIに出資、半導体では英Armを子会社化、AIインフラでは米オハイオ州で10ギガワット、フランスで5ギガワットのデータセンター計画を進める。ロボットの領域では、すでに数十社のAIロボット企業を傘下に収めている。
孫氏は同じ総会で、4つの領域をオセロの「四隅」に例えた。「新しい超知性の時代が来る中で、この『四隅』を押さえていきたい」。ABBの買収で、四隅の一つを固める。
AI投資は、世界で拡大している
世界のAI投資は拡大が続く。米調査会社ガートナーは、2026年の世界のAI関連支出を前年比47%増の約2兆6,000億ドル、2027年には約3兆4,900億ドルと予測する。うち最大はデータセンターやAI半導体などのAIインフラで、全体の半分を超える。
孫氏は総会で「AI革命はまだ始まったばかり。AIの底力は、ここから一気に広がっていく」と語った。1兆円の社債は、「四隅」の一つを押さえる元手になる。